ISO26000の海外での動向


ISO26000の発行を受け、各国では国内のルール化に向けての論議が続いているが、主として3つの対応がみられる。

一つは、ISO26000を忠実に翻訳するかたちの「国際一致規格」とするもので、ドイツのDINをはじめ各国ですすめられており、日本でも来年1月にJIS規格が刊行される見込みである。

二つ目は、各国の国内規格とはせずに、ISO26000をそのまま使用するケースである。

さて、三つ目が、「自己宣言」「認証」などの方法を一部取り入れた国内規格化である。これは、ISO26000が「この国際規格は、より具体的な、より厳しい、または異なる種類の国内規格の作成を阻 むものではない」 (第1章)としていることと関連しており、オランダ、デンマーク、ポルトガル、ブラジルなどにみられる。このうち、今後の影響力が大きいと思われるものの一つはオランダの規格である。これは、組織がISO26000に適合していることを示す「自己宣言」についての国内規格(NEN NPR 9026:2011)で、本年1月に試作され、10月に正式に刊行される予定である。
試作規格の英訳は、組織の対応についての55の質問、関連文書の取扱などからなる。オランダ規格協会(NEN)はこの規格の使用を海外にも広めたいとしている。

(熊谷謙一会員)